テクニック

テクニック

私は小さい頃、テクニックがないと思っておりました。それはテクニックが「巧みに行う能力」だと思っていたからです。友達が弾くようにコロコロと指が動かない、楽譜通りに速いパッセージを弾けない。練習して弾けるようになっても、本番では意識しすぎて外してしまう。だから高校生の時は、自由曲の試験の時はギリギリのラインで弾ける曲を選んでもらっていました。ところが大学に入ってついた先生は元演奏家の先生で、今までとは違う教え方をする先生でした。自由曲の課題の時は難曲を選んでくださるのでした。無理と思いながらも必死で練習し試験を受けると、思いの外手応えを感じることが出来たのです。それからは自分で自分の力を判断しないように心がけております。

生徒さんの発表会の曲を決める際、あまりにも極端に高いレベルの曲はご相談させて頂いておりますが、基本的にはご家族で相談して頂き、弾きたい曲を選んでおります。レベルに合った曲でない場合、当日失敗することもあると思います。それでもその曲を弾きたいと思い、練習した過程をしっている生徒さんとご家族と私の中にはちゃんと納得いく感情が残ります。

今は、テクニックとは演奏場所や楽器、聴いてくださる方々の反応に合わせてバランス良く演奏を変化できる能力だと思っております。

素晴らしいテクニックをもった方の演奏はとても美しいです。

shizue